外傷性股関節脱臼


 外傷性股関節脱臼に対しては、人工靭帯(ファイバーワイアー、ウルトラブレード)と砲弾型トグルピンを使用した股関節安定化術を実施しています。※当院では外科用イメージ、関節鏡などを使用し低侵襲を目指しています。

 

 

 

 


砲弾型トグルピン(2.4mm)とウルトラブレードによる股関節安定化術


・両側性の股関節脱臼、両側性の前十字靭帯断裂

股関節形成不全


若齢期恥骨結合固定術(JPS)

 股関節形成不全を持つ犬、14から20週令までの幼犬に行われる予防的骨盤矯正術。

恥骨結合を電気的焼灼、または外科的切除術などにより成長板早期閉鎖を誘発し、大腿骨頭への寛骨の被覆を改善する術式。



三点骨盤骨切り術(TPO)

 ヒトのキアリ手術に類似した手術です。若齢時の股関節形成不全を呈する犬に行う、予防的骨盤矯正術です。通常は、生後半年から1歳位の若い時期に行われます。この手術により正しく矯正された股関節は関節炎の進行を最小限に抑えながら自分の関節により生涯を過ごすことが可能です。自験例ではほとんどの犬は大変良好な運動機能を獲得しています。術式には二点骨盤骨切り術、三点骨盤骨切り術などがあります。亜脱臼が重度な場合や、既に関節炎がX線写真上で確認された場合は適応外となります。股関節形成不全の後発する犬種では、若い頃にX線検査と注意深い触診を受けておくと良いでしょう。

 

Mini-Triple pelvic osteotomy


大腿骨頭切除術

 大腿骨頭切除術はレッグペルテス病、股関節形成不全、股関節脱臼、股関節内の骨折などの際に行われる、救済的な手術方法です。この手技は米国をはじめ、世界中行われており、股関節の手術ではポピュラーな手技です。この手術を受けた患者さんの約80〜85%で良好な機能回復を示すことが知られています。ただし、術後は関節の可動域が制限される場合や激しい運動のあとなどに、疼痛が生じる場合などがあります。また、ある程度満足のいく状況にまで改善するには約半年ほどかかる場合もあります。特に、術後のリハビリテーションが予後を左右する大変重要な役割であるといわれています。

 ただし、この手術の良い所は、インプラントを埋入しない、入院日数が短い、術後の安静期間がないなど経済的な面においても多くのメリットがあります。


レッグペルテス病

 トイ・プードル、ヨークシャーテリア、ミニチュア・シュナウザー、ミニチュア・ピンシャー、ポメラニアンなど純血種の成長期に認められる遺伝性の整形外科疾患です。通常は片足ですが、両側性に発症することもあります。跛行、挙上、疼痛などの症状を呈する事で見つかります。膝蓋骨内方脱臼との併発もあるので、注意深い触診と正確なX線検査が必要です。状況によってCTを使って病変部を確認する場合もあります。

 軽度な場合で運動機能にさほど影響が出ていない場合は長期間の安静、NSAIDsなどを投与することで症状の緩和を期待することが可能です。しかし、通常は大腿骨頭切除関節形成術を行い、早期にリハビリテーションを行います。

 

 ※米国で最もすすんだ整形外科の病院ではヒトと同様に人工関節を実施しているようです。近年、日本においても人工関節のシステムを輸入している施設がありますので、ご希望の際はご紹介させていただく場合もございます。