ダクタリ会

症例

大腿骨癒合不全 

年も残すところ数時間となりました。今年の最後の依頼手術はワンコの大腿骨骨折の癒合不全です。(緊急手術がないという前提で)年明けの手術が大腿骨骨折でしたので、この1年間は大腿骨に始まり大腿骨に終わるというトラウマ治療の依頼も多かった年でした。年間を通じて、整形外科・神経外科領域で176件の依頼があり、トイ犬種の橈骨骨折、猫の落下事故による骨折、前十字靭帯、膝蓋骨脱臼などの関節疾患、若いフレンチブルドッグの椎間板ヘルニアなども増加傾向にあるようです。腫瘍外科・軟部外科は186件で猫の尿管のトラブルは相変わらず多く、かかりつけの先生のエコーの技術と超音波装置の画質が向上し、この病気の検出率が増え、早期の治療介入が出来るようになっていると感じます。また、無麻酔80列CTによる猫の尿管結石の評価はとても感度が高く外科が適応か否か?瞬時に判別できることは腎臓の悪い猫さんに麻酔をかけなくても検査できるという点において大変なメリットがあります。春にスタートを切った岩手大学との兼業事業である猫の生体腎移植もまだ数は少ないものの(2例)、関東で唯一の施設として認可され稼働できるようになったことは、今後の動物のための臓器移植医療にとって、価値ある大きな一歩であったと思います。今までは諦めなければならなかった猫の慢性腎臓病ヒト医療と同様の臓器移植の技術で再び命の息を吹きこみ、病気をあきらめないというご家族の気持ちに応えようとするチームが一丸になった結果だと思います。しかし、たとえ技術が進歩しても獣医療は決して完全なものではありません。我々はそれを理解しています。これからも様々な壁にぶち当たることは想定内であり、来年も日々研鑽し、チーム全体で乗り越えるための努力を惜しみません。さて、ワンコの大腿骨ですが、骨折部位の断端を揃え、圧迫固定のための骨切り、ブドウ球菌がバイオフィルムを形成しにくい感染抵抗性のある純チタン 2種プレート・チタン合金スクリューを採用、大腿骨遠位に適したコンプレッションカーブプレートとロッキングプレートによるダブルプレートで強固に固定しています。また、癒合促進のためβ-TCPを骨補填剤として使用しました。膝関節の拘縮が強いため、積極的なリハビリテーションの介入が必須となります。

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