症例

軟部組織肉腫 G3

大型犬の前肢のナックリングが4週間ほど続いており、NSAIDS(非ステロイド抗炎症薬)に反応しないので検査をして必要であれば手術をして欲しいと主治医の先生から連絡がありました。触診で肩甲骨内側領域に固いしこりを確認しました。早速、エコーガイドでFNAを行なったところ、軟部組織肉腫を疑う所見が確認されました。
CTとMRI検査では脊髄内に浸潤は確認されませんでした。末梢神経に発生した腫瘍による神経麻痺と診断し、肩甲骨を含めた右前肢の断脚術を実施しました。
病理検査を行なったところ、この腫瘤は軟部組織肉腫であり、組織形態学的には悪性末梢神経鞘腫あるいは線維肉腫を最も疑わせるものと診断されました。

イヌの軟部組織肉腫はいくつかの間葉腫瘍の総称で皮膚・皮下腫瘍全体の約15%を占める悪性腫瘍で、その分化度、核分裂数、壊死巣の有無から3つのグレード(グレード1=低悪性、グレード2=中悪性、グレード3=高悪性)に分けることができます。
この腫瘍は病理組織学的にグレード3(高悪性)の軟部組織肉腫に相当すると考えられました。グレード3の軟部組織肉腫は局所浸潤性が高く、転移率はおよそ50%
と報告されています。領域リンパ節に腫瘍は認められませんでしたが、肉腫の多くは血行性に遠隔転移を起こします。
断脚部分や肺を含む注意深い経過観察をしなくてはなりません。

術後はフォローアップとして抗がん剤や局所のオルソボルテージ放射線照射が計画されています。

 

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