ダクタリ会

症例

十二指腸腫瘍切除(下行十二指腸へのアプローチ)

の十二指腸腫瘍切除(特に下行十二指腸)を行う際の重要なポイントの一つが、十二指腸結腸靭帯(duodenocolic ligament)を切断して可動性を確保することです。下行十二指腸は、右側腹壁に強く固定されており、十二指腸結腸靭帯がその可動性を制限しています。この靭帯を慎重に切断することで、十二指腸が腹腔中央〜左側に牽引できるようになり、腫瘍部へのアクセスが大きく改善します。

12歳のワンコに慢性嘔吐があり、十二指腸遠位に腫瘤が確認されました。

🔹手技上のコツ

  1. 結腸右側の剥離ラインを意識
    ・結腸を軽く内側へ牽引し、十二指腸との間の漿膜結合組織(靭帯)を鋭的に切離。

  2. 十二指腸動脈・静脈を損傷しない
    ・靭帯を切断しても、血管の走行には十分注意。右膵十二指腸動静脈が近くを走る。

  3. アプローチの拡大
    ・この操作により、膵頭部〜近位空腸の可動性も改善し、膵頭十二指腸領域の手術や吻合操作が容易になる。

  4. 牽引方向
    ・十二指腸を腹側・内側へ牽引することで、腫瘍の位置確認や切除範囲の設定がしやすくなる。

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