犬の子宮捻転
犬の子宮捻転は、非常にまれな病態です。一方または両方の子宮角の捻転を起こすことが知られています。多くの場合、素因となる原因は特定できていません。幸いにもかかりつけ医の初動がよく、速やかに卵巣子宮摘出術を行えたため無事に退院となりました。以下に犬の子宮捻転で現在知られていることを示します。
病因
子宮捻転は妊娠していない子宮や病気のない子宮でも発生する可能性がありますが、妊娠と子宮疾患が素因と考えられています。 潜在的に寄与する因子には、過去の妊娠により広範な靭帯の弛緩、子宮の緊張の欠如(弛緩した子宮壁)、弛緩した間膜が挙げられます。卵巣および子宮の適切な靱帯の長さとその異常な可動性。 子宮蓄膿症や子宮疾患も、子宮捻転と関連しています。しかしながら多くの場合、素因となる原因は特定できません。
病態生理学
ねじれは子宮角への血液供給の障害を引き起こします。 静脈の流出は動脈の流入よりも大きな影響を受け、静脈のうっ血、組織の浮腫、そして最終的には関連組織の梗塞や失活を引き起こします。 子宮動脈の破裂は出血性ショックを引き起こす可能性があります。 この病気が認識されない場合、子宮破裂、敗血症で死亡する可能性があります。
ヒストリー: おりもの、腹痛、出産、難産、嗜眠、食欲不振、嘔吐の病歴が聴取される場合があります。
身体一般検査所見:腹痛と腹部膨満、尾側腹部腫瘤、おりもの、脱水症状、発熱または低体温、脱力感、頻脈、頻呼吸、ショックなどが含まれる場合があります。
臨床病理検査:完全血球計算では白血球増加症または白血球減少症、および左方移動を伴う好中球増加症が存在する可能性があります。血液化学パネル: 高窒素血症、低アルブミン血症、高グロブリン血症が報告されています。 高カリウム血症は、腎不全による排泄減少や代謝性アシドーシスによる細胞内移行に続発して起こる可能性があります。 低ナトリウム血症は、子宮内への体液の喪失によって発生することがあります。
画像診断:特徴的な所見は述べらていませんが、CTで子宮の捻転基部が観察されました。
本症例は子宮水腫に続発した捻転と考えられました。ちいさな体で頑張ってくれました。