ダクタリ会

症例

猫の巨大結腸症(骨盤骨折に随伴)

猫ちゃんが幼少期に受けた高エネルギー外傷により骨盤を骨折したそうです。残念ながら、骨盤が狭小化したまま変形癒合し、そのため二次的な便秘症に悩まされていたそうです。しばらくは内科療法に反応があった様ですが、ついに麻酔をかけて摘便しなければならない程に悪化してきているとのことで、主治医の先生から、なんとか便秘を解消して欲しいと連絡がありました。CT検査で骨盤の狭小化が確認されましたが、この時点で骨盤拡張術を行ったとしても、既に結腸の病理学的な変化は不可逆的であり、骨盤の手術を行うことのベネフィットはありません。そのため難治性の便秘を解消するためにはサブトータル結腸切除(結腸亜全摘)を検討すべきです。これにより、毎回、麻酔をかけて摘便をする必要もなくなり、患者さんのQOLも格段に向上すると思われます。もし、拡張が盲腸にまでおよぶ場合は、盲腸も含めて切除しなければなりません。ヒトもそうですが、猫にとっても、慢性の便秘は辛いものです。猫の骨盤骨折は放置すると多くは変形癒合を起こします。単純エックス線では立体的に評価をすることが難しい場合もあるため、無麻酔CT検査で異常がどの程度なのか?まずは確認しておくと良いでしょう。そして、変形や狭窄があれば早めに骨盤を正しい位置に戻すことが推奨されます。

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