肝内側左葉切除術










肝臓腫瘤に対して内側左葉切除(left medial lobectomy)を実施しました。術前のCTで左内側葉限局性腫瘤を確認し、主要血管との走行を把握した上でアプローチ法を決定。使用したデバイスは血管シーリングとしてCool SEALを使用。さらに、肝実質切離には超音波乳化吸引装置:CUSA(Cavitron Ultrasonic Surgical Aspirator)を用いました。最終的な血管・胆管・肝実質処理にTA 30Vstaplerを使用しました。CUSAによる実質分離により肝葉基部の視認性が高まり、出血コントロールを維持しながら安全に切除が可能でした。術中の循環動態は安定しており、総出血量は少量。切離面の止血および胆汁漏防止を確認後、ドレーンを設置し、閉腹としました。覚醒も良好に経過しています。今後は腫瘤を病理学的評価により判定し、再発リスクおよび残存の肝機能を経時的にフォロー予定です。本症例では、TA 30Vstapler+Cool SEAL+CUSA+TA staplerの併用が、肝実質切除における低侵襲化と安全性の両立に有効であることを再確認しました。肝門部に近接する腫瘍に対しても、適切なデバイス選択と段階的な剥離戦略により、安定した術野確保と出血抑制が可能となります。

