症例

肝臓原発血管肉腫

貧血が進行してきているので、緊急で腹部の精査をして欲しいとのこと。
主治医から高齢のワンちゃんが精査のため紹介受診しました。
CTでは肝臓の右区画から出血しており、緊急的な対応が必要であると判断しました。
200mlの全血輸血を確保したのち、開腹したところ、外側右葉にできた腫瘍が破綻、出血していました。
これをTAステープラーを用いて一括切除。止血を行いました。その後、全血を投与し、
DICに注意しながらICUでモニターとなりました。24時間はVPCsが多発していましたが、
幸いにも術後72時間で食欲も発現。

所見
腫瘤を含む肝臓外側右葉が提出されました。非腫瘤部の肝臓実質の断端は認められたもの
の、腫瘤部の正確な切除端は不明瞭でした。断端付近と思われる位置を含む様に、合計6
ヶ所採取し鏡検しました。

標本上で腫瘤内部のほとんどは出血(血腫)によって置換されていますが、肝臓実質との
境界部に境界不明瞭な腫瘍性病変が少量残存しています。この腫瘍は、紡錘形細胞のシー
ト状、及び一部多角形~紡錘形細胞の不規則な網目状~スリット状の血液を含む管腔構造
で構成されています。これらの腫瘍細胞は境界不明瞭で乏しい好酸性細胞質、多角形~細
長い核、微細顆粒状の核クロマチン、1-2個の核小体を持っています。細胞異型、核異
型は中等度で、核分裂像は高倍率10視野あたり18個です。
作製した標本の一部で、腫瘍細胞は提出された組織の断端(切除端付近と考える)に接し
ています。

病理組織学的評価 血管肉腫 Hemangiosarcoma

コメント
出血を起こしていた病変は腫瘍性病変で、形態から血管肉腫と評価します。血管肉腫は血
管内皮細胞由来の予後が悪い悪性腫瘍です。この腫瘍の合併症には、多臓器への転移、持
続する腹腔内出血、隣接する内臓または腸間膜表面への播種、凝固異常(DIC)および
異常赤血球形態が挙げられます。慎重な対処が望まれます。

肝臓原発の血管肉腫の破裂による腹腔内出血と診断されました。
今後は全身状態を確認しながら、化学療法が検討されます。
    

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