ダクタリ会

症例

上腕骨顆間不完全骨化に伴う粉砕骨折

IOHC(Incomplete Ossification of the Humeral Condyle)

生後7ヶ月齢のミニチュアピンシャーが同居している猫さんと遊んでいて急に右前肢を痛がる様になり、足を使えなくなったとのことでかかりつけ医を受診されました。上腕骨遠位の粉砕骨折を伴う外側顆間骨折と診断されました。シグナルメント(最も大事)からこの犬種にはIOHCが背景に存在している可能性があります。

定義:上腕骨顆部(内側顆と外側顆)の骨癒合が完全に形成されず、骨髄内に不連続性が認められる状態。

特徴原因:遺伝的要因や発育不全により、骨癒合が完全に形成されない。一部の犬種(例: コッカースパニエル、ミニチュアピンシャー)で発生率が高い。
症状:初期段階では無症状であることが多いが、外傷や慢性的な負荷で破綻(完全骨折)を引き起こす。
診断:CTで顆間の骨髄内に不連続性を確認。X線では診断が困難な場合が多い。
臨床意義:IOHCそのものは構造的な脆弱性をもたらし、破綻や骨折のリスク因子となるため、予防的な内固定が推奨される場合がある。

HIF(Humeral Intracondylar Fissure)
定義:上腕骨顆部の顆間に亀裂(fissure)が形成された状態。IOHCが進行した結果や疲労骨折として発生することが多い。

特徴
原因:IOHCの基盤に慢性的なストレスが加わることで、亀裂状の疲労骨折として発生する。また、軽度の外傷や反復的な運動負荷でも発生することがある。
症状:疼痛や跛行が認められることが多く、症状は慢性化しやすい。
診断:CTで亀裂(fissure)を確認。

臨床意義
HIFは、IOHCが進行して破綻寸前または初期の破綻状態を示す。放置すると完全骨折を引き起こす可能性が高いため、早期の治療が必要。

IOHCとHIFの関係性

IOHCは先天的・発育不全による骨癒合の不全状態。
HIFはIOHCに基づく慢性的なストレスや疲労により形成された亀裂(fissure)。
両者は密接に関連しており、HIFはIOHCの進行形または臨床的表現形と考えられる。

治療と管理
内固定:ヘッドレスコンプレッションスクリュー(HCS)などを使用し、顆間部の圧迫固定による安定性を確保。
予防的処置:反対側にも予防的な固定を行う。

関節内骨折であるため、早期診断と内固定による予防・治療が必須となる。

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