ダクタリ会

症例

会陰ヘルニア

去勢の高齢犬は会陰ヘルニアを発症しやすい。肛門の脇の筋肉が裂けて、大腸の一部がヘルニアを起こし、便が停滞し排泄出来なくなる。会陰ヘルニアに伴いしぶりと排便困難、さらに激しい痛みを伴っているワンコがいるので早めに対応して欲しいと主治医から連絡があった。この問題を解決するために結腸固定術、ヘルニア孔の閉鎖、内閉鎖筋のフラップ、人工メッシュによる被覆補強で対応した。当面はなるべく残渣の少ないフードに変更したり、ラクツロース などの便軟化剤を使いながら内科療法の継続が推奨される。外科手術をしても、病気の再発率は約15%と言われているので、高齢になってからの手術を回避できるなら、未然に予防しておきたい。この会陰ヘルニアという病気は男性ホルモンが関与しているので、繁殖の予定がなければ、去勢術(精巣摘出術)を受けておくと良い。同時に肛門周囲の腫瘍、精巣腫瘍、前立腺肥大などの病気も予防できる。
1オンスの予防は1ポンドの治療に匹敵 An ounce of prevention is worth a pound of cure.アメリカ建国の父 ベンジャミン・フランクリン(1790年4月17日没 享年 84歳)※言い換えれば”危険の芽は小さいうちに摘んでおけ”という意味。200年ほど前のアメリカでは”何事も予防が重要”という概念がすでに提唱されている。

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