ダクタリ会

症例

前十字靭帯断裂に対するCBLO+タイトロープ変法 #162

十字靭帯の完全断裂により脛骨前方への脱臼が顕著な患者さんにCBLOで対応した。エックス線検査においてTPA =34°であることから、この患者さんの脛骨はexcessiveTPA(過剰脛骨高平部角という)である事が示された。この問題に対してTPLOでは34°-29°=5°を目的とすることから、ローテーションにより近位骨片と遠位骨片の接触面積が減少し、回転矯正のSafe Zoneを超えてしまう可能性がある。さらに脛骨の内旋矯正に対してタイトロープなどの関節外制動術の追加処置のためには脛骨近位骨片の面積は広い方が望ましい。この患者さんもCBLOの回転矯正後に脛骨内旋が強く、脛骨圧迫試験で前方スラストが解消されていない事が確認された。タイクロンとエンドボタンによりアンチローテーションのタイトロープを作成しCBLOに追加した。eTPAを持つ患者ではグラフトへのストレスが大きいことから関節外制動術単独での治療成績は疑問視されている。部分断裂の患者さんをいかに早期に検出し、部分断裂の状態を温存できるか注意深い視診、触診、正しいポジショニングでのエックス線写真、関節エコーなどを駆使し前十字靭帯(疾患)病を早期に捉えて治療を介入する事が重要である。

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