ダクタリ会

症例

呼吸困難を起こした唾液瘤

6歳のゴールデンレトリバーが呼吸困難になり、主治医を受診しました。急性に頸部に腫瘤が形成され、気管を圧迫しているとのことです。声もでない、水も飲めなくなったとのことで、直ぐに原因を調べて必要があれば手術をしてほしいとのことでした。CTと内容液の性状から唾液腺の破裂と診断しました。頸部腹側から腫瘤にアプローチした所、唾液腺導管が破綻して、唾液瘤が形成されていました。唾液瘤とは、頚部あるいは口腔の軟部組織における、唾液を貯留した単房ないし多房性の嚢胞です。犬では多くは下顎~頚部の皮下に形成され、やわらかい嚢胞として認められ、内部には無臭、灰黄ないし褐色粘稠液を充満します。また、大きなものでは直径10cmにも達します。なお、口腔底の導管に生じた唾液腺の拡張はガマ腫と呼ばれますが、この病変では腫瘍性変化認められませんでしたので、今回の切除により良好な予後が期待されます。

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