ダクタリ会

症例

多発性骨盤骨折〜猫〜

若い猫さんがマンション5Fのベランダから落下してしまったようです。胸部と骨盤を負傷し、救急病院で数日間、入院治療を受けていたとのこと。初動がよくまた、治療の甲斐もあり、一命を取り止めることができました。小康を得たところで、かかりつけ医に転院し、骨盤骨折の治療のために当院へ紹介受診となりました。(骨盤骨折を放置すると多くの猫では後に変形癒合から骨盤狭窄が生じ、慢性の便秘に悩まされることになります。)術前の整復プランと骨盤狭窄の程度を把握するために、CTで詳細を確認したところ、仙腸関節脱臼、坐骨骨折、恥骨骨折、腸骨骨折、多発性の骨盤骨折が明らかになりました。また、顕著な狭窄も生じています。これらの問題に対して、大転子骨切りアプローチにより、2.7ロッキングスクリューをコンプレッションスクリューとして仙腸関節固定、また、坐骨に対しプレーティング術を実施。反対側の腸骨もパラレルプレートで同時に整復を行いました。長時間の手術になりましたが、よく頑張ってくれました。しばらくは安静にし、自宅でリハビリなどを行なっていただきます。今年の秋は暖かく、過ごしやすい日が続いています。また、Stay Homeで猫との生活を楽しんでおられる家庭も多いでしょう。しかし、ベランダを開放するときには、くれぐれも猫の居場所を気にしてあげてください。特に若い猫はいろいろな物や高い場所に興味を示します。猫も人も安全に過ごしましょう。

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