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症例

健康診断で発見された犬の甲状腺腫瘍

状腺腫瘍は、犬の腫瘍全体の約1~3.8%を占め、最も一般的なタイプの内分泌腫瘍です。ほとんどの甲状腺腫瘍 (90%)は悪性です。良性腺腫は甲状腺腫瘍の10% 未満です。甲状腺がんには2つの細胞タイプ、濾胞性細胞と濾胞傍細胞という原発性甲状腺がんが生じます。原発腫瘍は局所構造(主要血管、反回神経、迷走交感神経幹、喉頭、気管、食道など)に浸潤する傾向があり、外科的切除に難儀する事があります。また、遠隔転移も発生し、最も一般的には所属リンパ節が含まれます。2156 件の甲状腺腫瘍を対象とした研究では、診断時には6.4% に転移が確認され、このうち3.2% がリンパ節転移、2.6% が肺転移、0.6% にリンパ節と肺の両方に転移が認められました。患者さんは高齢犬であり、健康診断としてかかりつけ医から全身のCTスクリーニング検査のリクエストがあり、偶発的に初期の甲状腺腫瘍が見つかりました。幸いにも、転移を疑う所見はなく腫瘍が小さいうちに病気の甲状腺の摘出術が行われたので良好な予後が期待されます。健康診断としてCT検査のリクエストがあれば当センターで行うことが可能です。高齢犬のご家族は一度、かかりつけ医にご相談ください。

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