ダクタリ会

症例

猫の尿管結石〜尿管新吻合術〜

7歳のスコティッシュさんが地元の病院で血液検査と超音波検査により尿管閉塞と診断されました。腎数値は測定オーバーで危険な高カリウム血症もあるとのこと。遠方の動物病院より連絡がありました。数時間で来院後、麻酔は危険を伴うので、無麻酔CT検査を行いました。右の尿管に、膀胱の手前のところで尿管結石が閉塞していました。この時点で麻酔はせず、エコーガイドで腎盂から経皮的に尿を抜去しました。72時間後、腎臓の数値は依然として高いままでしたが、高カリウム血症が改善していたので全身麻酔をし、右の尿管にアプローチしました。尿管結石の閉塞している領域は切除し(残しても狭窄するので)、近位の尿管を後腹膜より剥離後、膀胱内に引き込み、マイクロサージェリーで縫合しました。手術の翌日には腎数値が大幅に改善し、食欲が確認されました。
この猫さんに関しては、ん?これはおかしいな?いつもと様子が違うんじゃない?と感じて早めに動物病院を受診したご家族と、すぐにこれは尿管結石!と判断した主治医の初動により、このような予後が得られたと思います。この手術はいつも長時間となるため、それなりに思い切った勇気と根気が必要ですが、翌日、おしっこ、たくさん出てますよ。と看護師さんから報告があると、疲れも一瞬で吹き飛びます。このまま腎臓が良い状態をキープしてたくさん尿を作ってくれることを願うばかりです。

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