ダクタリ会

症例

猫の尿管結石に対する膀胱尿管新吻合術 #18

性腎機能障害の猫ちゃんが(BUN>130mg/dl、Cre>14mg/dl、高カリウム血症)治療のため救急で対応しました。無麻酔CTでは両側に尿管結石が確認されました。著しく拡張している左腎の腎盂に一時的な腎瘻カテーテルを設置し、尿の排泄路の確保を行います。しかし、腎数値に改善は見られませんでした。腎盂造影を行うと拡張している腎臓において尿の産生と排泄は行われている様です。一方、腎盂拡張のほとんどない右腎の腎盂造影では尿の排泄が確認されません。今回の急性腎機能障害の原因は機能の残っていた右腎の急性尿管閉塞による急性腎障害と診断しました。左腎に関しては尿の産生はあるものの慢性腎機能障害であり、すでに尿濃縮能は失われていると判断しました。右腎の問題に対して尿管膀新吻合短尺型ステント設置術を行いました。術後は徐々に腎数値は低下し、腎機能の回復が得られました。一見すると腎盂拡張の顕著な側が急性腎障害の責任病変と判断しがちですが、片腎が十分に機能していれば腎数値に影響はほとんどなく、どちらの腎臓を治療対象とするか?エコー、CTなどの画像診断、血液検査、一時的な腎瘻カテーテルの設置、腎盂造影など総合的な判断が必要です。また判断がつかず、左右同時に治療が必要な場合もあります。

 

 

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