ダクタリ会

症例

猫の尿管結石(内科治療)

両側尿管結石による急性腎障害のため、中高齢の猫ちゃんが紹介来院しました。
血液検査では腎臓の数値は測定できないほど高く、このままでは命が危ない状況です。
腹部超音波検査では左腎臓は既に慢性的な尿管閉塞により萎縮・水腎化しており、右腎臓は軽度の腎盂・尿管拡張がありました。
急性の閉塞の場合には腎臓の形態的な変化に乏しいことも多く、尿管結石の診断にはCT検査が有用となります。CTで確認するとこの患者さんの尿管結石は1mm以下であり、エコー検査では検出できないものでした。

尿管結石の治療には大きく内科治療・外科治療に分けられ、2年生存率は内科治療で66%, 外科治療で88%との報告があります。詰まっている石が大きければ自然に膀胱内へ移動する可能性が低くなりますので外科を推奨することが多いのですが、今回のケースは石が小さいこともあり内科治療をまず行っていくこととなりました。
ただし両側の尿管が詰まっている状態では腎臓からの老廃物の排泄ができず死亡してしまいますので、左側の腎臓へ腎瘻カテーテルを設置し、最低限の尿排泄を確保して内科治療にあたりました。

治療開始から1週間かけてなんとか尿管結石は膀胱内へ移動し、血液検査での改善も確認できました。
頑張って耐えてくれた猫ちゃん、そして粘り強く待っていただいた飼い主様にも感謝です。

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