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症例

猫の腸重積

重積の発生メカニズムには、腸管の蠕動運動の異常が大きく関与しています。この異常が引き金となり、腸管の一部が他の腸管に入り込む形態を取ります。以下に主な原因を挙げます。
1. 原発性要因

原因が特定できない場合(特発性腸重積)もありますが、特に以下の要因が関与するとされています。

  • 腸管の過剰な蠕動運動(hyperperistalsis)
    • 腸炎、腸管内寄生虫感染、ウイルス性腸炎(例:猫汎白血球減少症)などが腸の運動を刺激し、腸重積のリスクを高めます。
    • 病態生理学的には、腸管壁の炎症により神経調節が乱れ、異常な筋収縮が起こると考えられています。

2. 二次性要因

腸重積は、腸管内または腸管外の病変が引き金となる場合があります。

  • 腸内病変
    • 寄生虫(例:Toxocara cati):特に若齢猫に多く、腸管内の機械的刺激や炎症を引き起こします。
    • 腫瘍:腸管内腫瘍やリンパ腫などが機械的閉塞を引き起こし、腸重積を誘発します。
    • 異物:腸管内での異物の停滞により腸の動きが不均一になり、重積が生じます。
  • 腸外病変
    • 腹腔内の炎症(例:腹膜炎、腸間膜リンパ節炎)
    • 腹部外傷:腹腔内圧の急激な上昇が腸管に影響を与えます。

3. 若齢猫の高リスク

腸重積は若齢(通常6か月未満)の猫で発生率が高いことが報告されています。この理由として以下が挙げられます:

  • 腸管の成熟不全
  • 若齢個体に多い寄生虫感染
  • 猫汎白血球減少症や他の感染症による腸管炎症

病態生理学

腸重積が進行すると、以下のような連鎖的な病態が発生します:

  1. 血流障害:入り込んだ腸管の血流が障害され、虚血および壊死を引き起こします。
  2. 腸管閉塞:腸内容物が通過できず、嘔吐や腹部膨満が生じます。
  3. 毒素の漏出:腸管壁が損傷すると細菌や毒素が腹腔内に漏出し、敗血症や腹膜炎を引き起こします。

臨床的兆候

  • 嘔吐(持続性または断続性)
  • 食欲不振または廃絶
  • 元気消失、脱力感
  • 血便や下痢
  • 腹部の触診で異常な塊状物が確認される場合もある。

診断および治療の考察

  • 診断
    超音波検査では、腸重積特有の「ターゲットサイン(bullseye sign)」が確認されることが多いです。その他、X線検査や造影検査が補助的に用いられます。
  • 治療
    外科的整復(manual reduction)または腸切除が一般的です。虚血や壊死が認められる場合、重積部分の切除が必要です。

 

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