ダクタリ会

症例

猫の膝蓋骨脱臼症

キャットタワーからジャンプした際に時折、跛行がみられるとのことで主治医を受診されました。
触診では左右の膝蓋骨内方脱臼が確認されました。
外科的に大腿骨の滑車造溝術、脛骨粗面移動術、外側関節包の縫縮術により対応しました。
念のため切除した関節包の病理組織学的検査を実施しています。

所見
提出組織は左右膝蓋骨内方脱臼の整復術を実施した際に切除された余剰関節包組織です。
それぞれの標本は短軸縦方向に複数切り出し、鏡検しました。

左右膝関節の余剰関節包組織の所見は相似しています。以下にまとめて記述します。これ
らの標本に顕著な炎症は認められません。滑膜内膜層は線維化、そしてまれに肉芽組織形
成によって肥厚しています。滑膜細胞は肥大していませんが、増加して見られます。

病理組織学的評価
左右膝関節の関節包組織:滑膜内膜層の過形成を伴った線維化
Hyperplasia and fibrosis of synovial intimal layer

コメント
これらの標本に顕著な炎症は認められません。ネコの患者さん膝蓋骨内方脱臼の豊富な知
見は持ち合わせていませんが、イヌの膝蓋骨内方脱臼を罹患した患者さんの膝関節の関節
包ではしばしばこの患者さんのように滑膜細胞の過形成を伴った線維化が認められます。
膝蓋骨内方脱臼に伴う修復性の変化と捉えることが出来ます。この患者さんの滑膜包には
顕著な浮腫や慢性の体重負荷の減少を示唆するような脂肪増殖は認められません。

以上のことから、手術により良好な経過が得られることが期待されます。
猫の膝蓋骨脱臼はアビシニアン、ペルシャ、メインクーンなどに時折みられます。

症例カテゴリー

ページトップへ