ダクタリ会

症例

猫の鼻腔内リンパ腫に対する放射線照射

患者は9歳の日本猫です。
慢性的な鼻炎持ちでしたが、最近になって顔面変形が顕著になってきたとのことで検査した結果『鼻腔内リンパ腫』と診断されました。
腫瘍による骨の破壊は一部ありましたが、他の臓器への浸潤は見られないため放射線照射を行うこととなりました。

初回の放射線照射の翌日から目に見える改善があり、1週間後の第2回照射時には鼻呼吸ができるようになりました。
写真は治療終了後の写真ですが、急性放射線障害である脱毛、皮膚炎はあるものの腫れは引いてわからないぐらいになっています。

鼻腔内リンパ腫に対しては抗がん剤と放射線照射のどちらか、あるいは併用にて治療を行います。
放射線照射が適応になる条件としては病変部が限局し、他部位に転移しておらず、複数回の麻酔に耐えられる状態であることが必要です。
抗がん剤治療はリンパ腫が全身性の場合も有効ですが、長期間の通院と血液検査が必要となることと全身性の副作用のリスクがあります。
治療に反応してくれればどちらの治療も1〜2年の生存期間が期待できますので腫瘍の進行状況(ステージ)を評価した上で担当獣医師と相談し、治療方針を決めましょう。

追記: 診断・放射線治療開始から2年4ヶ月後まで生存することができました。

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