ダクタリ会

症例

肉芽腫性髄膜脳脊髄炎(GME)による神経原性ショック

3歳のポメラニアンが発作を主訴に来院しました。来院時起立は不可能で、頭を上げることもできません。身体検査では徐脈(50-60bpm)、低血圧、低体温を認めショック状態でした。MRI検査において延髄〜頸髄にかけて炎症像が認められ、脳脊髄検査で重度のタンパク濃度、細胞数増加が確認されました。細胞はほとんどが単核球であり感染を示唆する好中球は増加していなかったため、肉芽腫性髄膜脳脊髄炎(GME)と診断し、免疫抑制治療(プレドニゾロン+シクロスポリン)を開始しました。

神経原性ショックでは重度の脊髄損傷で認めることがありますが、交感神経の活性が欠如、低下するために副交感神経が優位となり、血圧を維持できなくなります。
脊髄の炎症が改善して自力で血圧を維持できるようになるまで昇圧薬を使用します。この患者さんは数日の治療で改善に向かい無事退院しました。

肉芽腫性髄膜脳脊髄炎は免疫抑制治療に反応すれば比較的長期の生存が見込めますが、急速に進行したり治療に反応しない場合は早期に死亡することがあります。
症状の進行により今回の患者さんのようにショックを呈したり、発作が止まらなくなる(重責)ことがあるため、発作がはじめて出た場合やふらつき症状が見られた場合などは早めにMRI検査で鑑別することが重要です。

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