肝細胞癌のチワワの1例
13歳のチワワさんが、肝臓の腫瘤を主訴に紹介受診されました。
症状は最近食欲が減ってきた、下痢が増えたなどでした。
一般身体検査では腹部の膨満が認められ、血液検査にて肝臓パネルの上昇、低血糖が認められました。
腹部超音波検査では肝臓の左肝区域に大型の腫瘤が認められました。
肝臓腫瘤の詳細な発生部位、転移の有無、大血管との位置関係を検査するために、
CT撮影を実施いたしました。
CTでは3D画像の緑色で示すように大型の腫瘤が肝臓の内側左葉に認められ、
大きさは8*7cmでした。また外側左葉には0.5~2.0cmの結節が複数確認され、右肝区域は重度に萎縮傾向でした。
以上の所見から腫瘤は肝細胞癌が疑われました。
後日 腫瘤の切除を実施いたしました。(腫瘍部分切除)
術後の経過は良好で、食欲は改善し、体重も増加しておりまた徐々に血液検査でも肝臓パネルが改善しました。
病理結果は肝細胞癌(高悪性度)でした。
〜考察〜
今回、腫瘤の完全切除には肝門部での外側左葉と内側左葉の一括切除が必要であったが、右肝区域が重度に萎縮しており、外側左葉を切除した場合に術後の肝機能不全が発生する危険性があったことから大腫瘤の基部での結紮離断を実施した。
肝臓腫瘍の手術においては症例の一般状態、年齢はもちろん、残存する肝機能の評価を行い手術計画を立てる必要がある。