股関節全置換術 THR #26










フレンチブルドッグ(4歳)の症例です。本症例は、過去に両側膝蓋骨内方脱臼(Grade 4)に対して、Distal Femoral Osteotomy(DFO)および Patellar Groove Replacement(PGR)を実施しています。これにより、膝関節レベルでの重度なアライメント異常は是正されましたが、今回は股関節形成不全に起因する慢性的な亜脱臼が残存し、後肢跛行および疼痛の主因であると判断しました。
本症例では、膝関節(MPL Grade 4)および股関節(股関節形成不全+亜脱臼)という多関節病変を時間軸に沿って整理し、それぞれの病態に応じて段階的な治療介入を行ってきました。今回、股関節における力学的破綻に対する治療として、人工股関節全置換術(Z-THR mini)を選択しました。
手術では、HA(ハイドロキシアパタイト)コーティングを施した18mm Cup、5mm HA Stem、セラミック 12mm Head、Short-Neckを使用しました。カップのインパクションは良好で、インターロッキングスクリュー方式によるステムの安定した初期固定が得られ、股関節由来の疼痛および不安定性の根治を図ることができました。
本症例は、膝関節病変を起点として股関節へと病態が連鎖する多関節アライメント異常に対し、関節単位で病態を整理し、治療の優先順位を明確にすることの重要性を示す一例と考えています。

