股関節形成不全に対する3D Hip 寛骨棚形成術 #5










両側性の股関節形成不全を認める大型犬に対し、左右それぞれの病態に応じて異なる外科治療を行いました。左股関節は重度の亜脱臼を伴い、関節温存が困難と判断したため、8週間前に人工股関節全置換術(THR:Total Hip Replacement)を実施しました。一方、右股関節は中等度の股関節形成不全でした。まだシャープなオルトラニサインが確認され、自己の股関節を温存できる状態であると判断し、CTデータから患者ごとに設計・製作したカスタム3D Hipインプラントを用いた手術を実施しました。3D Hipは、患者の骨盤形状に合わせて作製した3Dプリント・チタンインプラントによって寛骨臼背側を延長し、大腿骨頭の被覆を増加させることで、股関節の安定性を改善することを目的とした治療です。
今回の症例では重度側 → THRによる人工関節への置換、中等度側 → 3D Hipによる自己関節の温存という、左右で異なる治療戦略を選択しました。股関節形成不全の治療は、すべての症例、すべての股関節に同じ手術を行うものではありません。年齢、症状、亜脱臼の程度、関節炎の進行、大腿骨頭の状態、寛骨臼による被覆などを総合的に評価し、「その股関節を温存できるのか、それとも人工関節へ置換すべきなのか」を判断することが重要です。今回のように同じ犬の左右の股関節に対してTHRと3D Hipという異なる治療を行うことで、病態の進行度に応じた股関節治療を実践することができました。今後も長期的に経過を観察していきます。

