ダクタリ会

症例

肩関節脱臼に対する球状切削型関節固定術 #3

トイ・プードルさんが肩関節を脱臼して痛がっているので、手術でなんとかして欲しいと主治医の先生から連絡がありました。エックス線で確認すると上腕骨が肩甲骨の内側に脱臼しています。この問題を解決するには、いくつかの方法があります。代表的にはタイトロープ法、切除関節形成術、関節固定術、腱付着部位の移動術などが代表的です。脱臼による上腕骨頭の異常なメカニカル荷重による軟骨面の損傷が心配されるところです。術中に確認すると、関節軟骨の表層に欠損が確認されました。もし、温存した場合、今後、DJDに悩まされたり、不安定性を解消できなければ疼痛の持続なども懸念されます。今回は関節固定術を選択する事にしました。肩甲骨窩を寛骨用リーマーで軟骨面の球状切削を実施、また、上腕骨の軟骨面の搔爬を同時に行います。臼状の窩と球状構造により、パラレルカットより安定化が期待でき、前後方向への剪断力に抵抗することができると予想されます。また、骨同士の接触面積が増大するため、より早期の骨癒合が期待されます。元々、トイ・プードルは肩甲骨側の骨量が少ないため、ほとんどの皮質骨を温存できるので、この切削方法のメリットは大きいと考えています。しばらく安静が必要ですが、すぐに除痛効果が現れ、リハビリを行えば、徐々に機能回復できると期待しています。

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