肺葉捻転








小型犬が突然の呼吸様式の異常を主訴にかかりつけ医を受診。胸部エックス線検査において右肺葉に病変が認められ肺葉捻転が疑われた。当院で実施した胸部CT検査でも同様に異常所見を認めた。外科的治療として右肺中葉切除術を実施、術後の経過は大変良好であった。
右肺中葉の病理組織学的検査では、びまん性の化膿性気管支肺炎が認められた。気管支は中等度から比較的高度に拡張し、細気管支内腔には多数の好中球およびマクロファージの浸潤と血液の貯留が認められた。一部の細気管支では粘膜上皮が脱落し、周囲の肺胞腔には広範な出血および水腫が認められた。これらの所見から、化膿性気管支肺炎に加え、不完全肺葉捻転または循環障害が関与していた可能性が示された。検索された組織内に明らかな腫瘍性病変は認められなかった。
Lung lobe torsion in 35 dogs and 4 Cats Kathryn L Benavides 等の
肺葉捻転(LLT)が確認された犬35頭・猫4頭を対象に、退院までの生存率と予後に関連する因子を検討した後ろ向き研究によると
- 病態・好発傾向:肺葉が肺門部で捻転し、浮腫、肺気腫、壊死を引き起こし、小型犬・大型犬のいずれにも発生し、特にパグとアフガンハウンドで多く報告されている。罹患肺葉は右肺中葉と左肺前葉が大部分を占めていた。
- 診断:胸部エックス線では、肺葉の透過性低下、小胞状ガスパターン、肺葉・気管支の位置異常、気管支の狭窄や途絶、胸水などが認められる。
- 治療:基本は開胸による罹患肺葉の切除であり、切除前の捻転解除は、炎症性サイトカインなどの流出を避けるため行わないことが推奨されている。
- 治療成績:39頭中2頭が術前に死亡し、37頭が開胸手術を受けた。手術例の退院までの生存率は87%で、治療を受けた小型犬と猫は全例が生存した。大型犬では、研究対象18頭中12頭が退院した。
- 予後因子:術前の胸水の有無と罹患肺葉については、この集団では退院までの生存との有意な関連は認められなかった。

