ダクタリ会

症例

胃捻転拡張症候群 GDV

救急病院では避けては通れない病気に胃捻転・拡張症候群(GDV)があります。この病気は待った無しの緊急事態です。10歳の大型犬が腹部膨満、吐きたいけど何も出てこないという主訴で主治医を受診しました。直ちに主治医のところで胃捻転(GDV)と診断されました。まず、主治医は経皮的に胃ガスの抜去を行ったそうです。その後、緊急対応の電話連絡があり、当院に来院しました。来院時の乳酸は10.3mmol/L、乳酸アシドーシス、可視粘膜蒼白で循環性ショックを呈していました。直ちにショックドーズで輸液を開始し、麻酔導入後、ストマックチューブで胃を減圧しました。腹部正中開腹し、捻転を整復、腹壁に胃固定を行い閉腹しました。術後は不整脈をモニタリングしながらICU管理となりました。幸いに乳酸値も8.0→4.9→2.5 と改善し、術後3日目に不整脈も生じていないことから退院となりました。今回はすぐさま、異常に気づいた飼い主さんと速やかに胃ガスの抜去を行なってくれた主治医の的確な判断と処置が良好な予後をもたらしたと考えられます。獣医療先進国のアメリカでは大型犬の飼育頭数が多く、この病気が非常に多いので、不妊手術や去勢手術の時に胃捻転が起こらないように予防的胃固定術が頻繁に行われています。
古くから、1オンスの予防は1ポンドの治療に勝るという金言がありますが、これは言い換えれば”危険の芽は小さいうちに摘んでおけ”という意味です。当センターではかかりつけの動物病院から要請があれば、腹腔鏡下予防的胃固定術”をお受けすることが可能です。

 

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