ダクタリ会

症例

胆嚢粘液嚢腫 GBM

疸がひどくなって、激しく嘔吐してご飯が食べられなくなっているワンコが居るので対応して欲しいと主治医より連絡があった。肝酵素は顕著に上昇しており、エコーでは胆嚢粘液嚢腫が見つかった。胆管閉塞と診断し、数日の内科治療を実施したが改善傾向が無いため胆嚢切除術に踏み切った。十二指腸を切開後、乳頭よりカテーテルを挿入し、総胆管を疎通させた。肝臓から胆嚢を剥離したところ、部分的な胆嚢穿孔が生じており、局所での腹膜炎が確認された。胆嚢頸部でクリッピングを行い胆嚢切除術を実施した。その後、肝生検、十二指腸栄養カテーテルを留置後、腹腔洗浄を実施した。幸い術後より黄疸は改善し、食欲が確認された。術後は副腎や甲状腺などの基礎疾患の合併症として、血栓症に留意してバイタルをモニターする必要がある。胆嚢粘液嚢腫は命に関わる病気だから、ポメラニアン、M・シュナウザー、トイ・プードル、ダックス、チワワ、シェルティ、コッカー、マルチーズ、ヨーキーなどの好発犬種と暮らすなら、少なくとも年に一回は血液検査と一緒にエコーで簡単にできる胆嚢検診をお勧めしたい。もし、見つかったら症状のないうちから食事を見直したり、内科治療を早めに開始しておくと良い。”1オンスの予防は1ポンドの治療に匹敵する”という金言からも、大事に至って慌てるよりも病気の悪循環(芽)は早いうちに摘んでおけという考え方です。

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