膝蓋骨内方脱臼に膝蓋骨高位症の併発










膝蓋骨内方脱臼は犬によく見られる整形外科疾患です。時折、膝関節伸展時に膝蓋骨が滑車溝のより高い位置で内方に脱臼する膝蓋骨高位症という疾患を併発する場合があります。通常、膝蓋骨は大腿骨滑車内に納まり、その滑車内を上下に走行し、内方に脱臼することはありません。大腿骨遠位にある溝は膝蓋骨の安定性に重要な役割を担っており、溝がないと簡単に内方へと滑り落ちてしまいます。脱臼した場合、犬は挙上、跛行、スキップなどの臨床症状を呈します。そして大腿四頭筋、膝蓋骨、膝蓋靭帯、脛骨粗面の伸展機構のアライメント異常から膝関節の軟骨に摩耗からびらんが生じ、関節炎による痛みに悩まされます。最近、人の膝蓋骨内方脱臼の患者さんの24%に膝蓋骨高位症が併発していたとの報告がありました。犬では膝蓋骨高位症と内方脱臼の併発症がどの程度存在しているのか?まだ詳しく調べられていませんが、自験例では足の長い犬での併発率が高い様に感じています。また、この問題に対して有効な治療方法の答えは出ていないのですが、人に於いては膝蓋靭帯の遠位化を目指すことが主な治療の戦略になると言われています。当院では大腿骨滑車後退術、脛骨粗面のステップ骨切除術による粗面の遠位化(Distalization)、スペーサー埋入による脛骨粗面側方化(Lateralization)でアライメント手術を実施し、内方脱臼と高位症を同時に矯正することにしています。

