犬には膝蓋骨内方脱臼が頻繁に生じる。この問題を解決するために、大腿四頭筋群・膝蓋骨・大腿骨滑車溝・膝蓋靭帯・脛骨粗面・足根関節と膝関節の伸展機構アライメント調整を行う必要がある。そのなかで、最も合併症の多い手術手技は脛骨粗面転移術と言われており、特にK-wireに関連したもの、脛骨の骨切りに関連したものが多く生じると報告されている。我々は脛骨粗面骨切り術（以下、TTT)に対する合併症を少なくしたいと常に考えており、今回あらかじめCADを用いたTTTモデルを有限要素法解析によりインプラントに生じる応力解析のシミュレーションを行なった。その結果、このカスタムメイド・ロッキング・パテラプレート法は従来からのK-wire固定法よりも約2倍（MAX応力から推測）の優れた脛骨粗面の固定強度が得られる事が推測された。また脛骨の粗面移動幅はスパイク形状のスペーサーにより任意に移動が可能である。特に脛骨粗面の小さなトイ犬種には安全かつ有効な手技と期待される。