ダクタリ会

症例

門脈シャント

犬の先天性血管異常に門脈シャントという病気があります。
2週間前からふらつきがあり、低血糖、低 Alb 血症、高アンモニア血症、総胆汁酸重度高値、低Cho 血症、レントゲンで小肝、食欲元気あり、消化器症状なし、門脈シャント疑いとのことで主治医からCTと手術依頼がありました。

CTの所見は

1)脾静脈経由門脈後大静脈シャント:短絡血管径 2.1 mm、重度小肝、肝内門脈枝萎縮
診断・コメント
1)先天性肝外単一血管性脾静脈経由門脈後大静脈シャント
先天的な血管の形成異常です。本来肝臓へ流入するはずの血流が短絡血管によって後大静脈へ流れて行ってしまっています。
短絡血管は肝臓尾側右腎頭側縁レベルで後大静脈に吻合しています。本症による二次的な影響が顕著に表れていました。
このような症例における内科治療の効果は限定的であり、一般的には短絡血管の閉鎖術が推奨されています。

術前計画に異常血管を3Dで描出することで手術時間の短縮になります。
しかし、実際の手術では門脈圧がシャント血管の仮遮断で16mmHgを越えてきたので、セロファンバンドを使用して仮結紮を行いました。セロファンによる反応で徐々にシャントが閉塞することが期待できます。
     

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