ダクタリ会

症例

Toy Poodleの橈尺骨骨折

1.5kgのトイ・プードルさんが室内で転倒し、橈尺骨を骨折してしまい、主治医の先生から治療をお願いしますと連絡がありました。この犬種はとても華奢な骨形態をしており、日常生活の中において、交通事故などの高エネルギー外傷でなく、些細な衝撃で骨折することは良く知られています。また、我々は素材選びの注意点として、この華奢な骨に対して強すぎる固定強度で生じるストレスプロテクションを予防するため、必ず、ヤング率の低いチタン素材のインプラントを採用することにこだわりを持っていますその理由はインプラントそのものの固定強度(剛性)に頼ることなく、なるべく歪みを少なく、解剖学的に正常な形態に整復(復元)し、直接的な骨癒合の達成を目指しているからです。(歪みが大きければ骨折の整復がインプラントの剛性に頼ることになる→より剛性を上げる→骨への応力遮断、ストレスプロテクションを誘発する。ウォルフの法則)つまり、ポメラニアン、トイ・プードル、イタリアン・グレードハウンドなどに生じる橈尺骨骨折は大変デリケートな特殊な骨折と考えるべきです。また、このチタン素材(純チタン・チタン合金)の良いところは単にヤング率が低いことだけではなく、SSIの原因となるブドウ球菌がバイオフィルムを作りにくいことも、人医療ではかなり古くから知られており、その素材そのものが骨親和性に優れることから、感染抵抗性が非常に高いことが知られています。しかし、現状において小動物整形外科領域では(ヨーロッパの一部の除いて)、非常に重要な話題である”感染抵抗性があることのメリット”という概念はさほど重要視されておらず、今のところ議論になることも少ないようです。

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