キノコは米国全土、特に雨が多く気温が低い地域でよく見られます。実際、ノースカロライナ州ダーラムのキノコ狩猟者であり、 『死なずにキノコを採集する方法: 絶対初心者ガイド』の著者であるフランク・ハイマン氏によると、北米全土で約 10,000 種のキノコが見つかります。「その数のうち、約 110 種が病気または殺人者です」とハイマン氏は言います。 「つまり、約 1 パーセントのキノコを食べると、トイレに駆け込むか、ER に運ばれることになります。良いニュースは、映画とは異なり、一口や二口かじっただけで倒れて死んでしまうことはないということです。」キノコの中で最も致死性の高い種の 1 つは、一般にデスキャップ キノコとして知られるテングタケ属のキノコです。フロリダ大学（UF）の救急・救命救急学教授、DVM、MS、DACVECCのアデソラ・オドゥナヨ氏は、摂取後わずか数時間以内に重篤な症状を引き起こす可能性があり、これを摂取した犬の死亡率は最大70％に達する、と述べている。「ほとんどのキノコ種は良性か、軽度の胃腸症状を引き起こす可能性がありますが、デスキャップキノコは主に肝不全を引き起こし、最終的には患者の死につながります」とオドゥナヨ博士は言う。

適例

犬のテングタケ中毒の報告は比較的まれですが、2022年にカリフォルニアで発生した症例では非常に珍しい副作用が生じ、獣医学誌に報告されました。¹この事件には、カリフォルニア州アサートン在住のエレノア・ガードナーさんとゲイリー・ガードナーさん夫妻が飼っていた、セイディという名前の10歳のメスのラブラドル・レトリバーが関与していた。セイディは外で遊んでいるときにデスキャップキノコを食べて体調を崩したが、嘔吐、食欲不振、尿閉、後肢の機能喪失などの症状が現れ始めてから３日後まで診断されなかった。

セイディは最終的に、カリフォルニア大学デービス獣医学部の臨床小動物内科准教授であるDVM、MAS、DACVIM（SAIM）のジョナサン・ディア氏を含むチームによって診察された。テングタケ毒性の迅速検出尿検査により診断が確認され、ディア博士と彼のチームは肝不全やその他の症状の治療を開始しました。「肝臓は血糖値を維持するのに役立ちますが、セイディの血糖値は低かったので、それをサポートするためにブドウ糖を投与しました」とディアさんは言います。 「彼女の凝固時間が非常に高く、彼女が適切に凝固していないことを意味するため、私たちは彼女にビタミンKを与えました。また、肝臓の酸化損傷のリスクを軽減するために、アセチルシステインも与えました」。さらに、私たちはセイディに吐き気止めの薬を与え、脱水症状を治療するために水分補給をさせました。私たちは彼女の体にこの状況を乗り越える機会を与えるために毎日取り組んでいました。」セイディはキノコとの遭遇から順調に回復しましたが、約 10 日後にこれまで見られなかった副作用、アジソン病が現れました。「これはとても驚きでした」とディアさんは言います。「2週間後の再検査では、セイディは完全に元通りではありませんでしたが、かなり改善されました。彼女の入院から約 1 か月後、彼女がアジソン病の犬のように見えたため、私たちは彼女に何か他のことが起こっていることに気づきましたが、これまで獣医学文献では報告されていませんでした。私たちの報告は、テングタケ中毒後に犬にこのようなことが起こった最初の報告です。」セイディはアジソン病と診断されました。これは彼女の副腎が血圧と電解質の調節に必要なホルモンを産生していないことを意味します。彼女は現在、毎日プレドニンを投与されており、さらに電解質を調節するために別の形態のステロイドを毎月投与されています。テングタケ中毒とアジソン病の発症との関係はよくわかっていません。「肝臓がテングタケの影響を受けることはわかっていますが、犬の副腎も影響を受けるかどうかはわかりません」とディア氏は言う。「私たちは他の種を調べ始め、テングタケ中毒がげっ歯類の副腎に影響を与える可能性があることを示唆する報告を発見しました。しかし、これがセイディに当てはまるかどうかを知る唯一の方法は、副腎を生検することですが、これは非常に侵襲的で危険であり、彼女にとって医学的価値はありません。私たちの仮説は、テングタケ属がセイディと同様のことをしたか、あるいは彼女の副腎に特に何か別のことが起こったということです。」

彼らが発見したこと

セイディの話は、キノコ中毒が診断上の外れ値である可能性がある地域の医療従事者への警鐘であり、すべての犬の飼い主への警告となるはずだ。テングタケは肝毒性がありますが、他のキノコは体に異なる影響を与える可能性があります。神経毒性のあるキノコには、例えばシロシビン、ヒドラジン、イソオキサゾールキノコが含まれると米国動物虐待防止協会 (ASPCA) が報告しています。症状は通常、摂取後 30 ～ 90 分以内に現れます。ヒドラジンキノコの場合、脱力感、運動失調、震えや発作、胃腸障害などの神経症状が現れます。これらの種類のキノコも溶血やメトヘモグロビン血症を引き起こす可能性があります。イソキサゾールキノコは、失調症のほか、見当識障害、発声、胃腸障害、震えや発作を引き起こすことも知られています。胃腸の症状は、さまざまな種類のキノコを摂取した後によく見られますが、軽度から重度までさまざまです。ムスカリンキノコは、血液量減少を引き起こす可能性のある嘔吐や下痢など、重度の胃腸障害を引き起こすキノコの 1 つです。この種のキノコは、犬に徐脈や典型的なスラッジ症状（唾液分泌、流涙、排尿、排便/下痢、胃腸障害、嘔吐）を引き起こす可能性があります。犬は屋外で何を食べるかについて無差別であることが多いため、キノコ中毒は常に脅威となります。「人々はキノコを採りに行くときも同様の行動をとります」とオドゥナヨ氏は言う。 「自分が何をしているのか分かっているつもりでも、デスキャップキノコを食べて病気になる人もいるかもしれません。猫は口に入れるものをより区別するため、キノコ中毒はめったに見られません。犬はキノコに魅力を感じます。」

  
セイディは現在、毎日プレドニンを投与されているほか、電解質を調節するために別の形態のステロイドを毎月投与されている。
写真提供：カリフォルニア大学デイビス校 

セイディの症例から臨床的に得られる点がいくつかある、とディア氏は言う。「心に留めておくべき重要なことの 1 つは、肝不全であり、アジソン病は研究室での研究では非常によく似ている可能性があるということです」と彼は説明します。「私が学んだ最大の教訓の 1 つは、もし犬がテングタケ中毒から生き残っていて、検査の結果、患者が少し後退しているように見えた場合、私たちはそれがアジソン病である可能性があるという広い心を保つ必要があるということです。

「心に留めておくべきもう一つの重要なことは、予後や治療費について飼い主と話すときに、何が起こるかについて簡潔かつわかりやすい見通しを与える必要があるということです。アジソン病の犬はごく普通の生活を送ることができますが、継続的なケアが必要となり、飼い主はそのケアに取り組む必要があります。」
セイディの飼い主、エレノア・ガードナーさんは、すべての犬の飼い主に、キノコがペットにとってどれほど危険かを認識するよう勧めています。 「庭で見つけたら、引っこ抜いてゴミ箱に捨ててください」と彼女は言います。 「また、犬の飼い主には、キノコ中毒の症状を認識し、愛犬が毒キノコを食べた疑い​​がある場合には、すぐに獣医師の診察を受けるよう勧めます。セイディが病気になったとき、キノコは私のレーダーにさえ載っていませんでした。」さらに、毒キノコと食べても安全なキノコを区別できると考えないでください。「毒性を示す単純で決定的な指標は何もありませんありません。彼は過去に、食用の野生キノコを地域のレストランに販売する仕事業をしていた。結論は、100パーセント確実にキノコを特定できない限り、キノコを食べてはいけないということです。ハイマン氏はまた、犬の飼い主に対し、屋外で遭遇する可能性のあるキノコに近づかないようにペットを訓練するようアドバイスしている。「経験豊富なキノコ狩りでさえ、遭遇したキノコのすべての種を知っているわけではないため、犬の飼い主はすべてがペットにとって潜在的に有毒であると想定する必要があります。」と彼は警告します。

テングダケが犬の副腎に影響を与えた可能性があるという2022年のケースレポート。個人的に野生のキノコを食べてみようというチャレンジ気分は起こらないし、犬に食べさせることはない。でも、食欲が亢進したクッシング症候群の犬がテングダケを食べたら？もしかするとキノコの成分から新薬発見？彼らが発見したこと、このケースレポートが意味するものは？単にキノコ＝ダメと考えるよりもなぜ？そうなった？を考える方がずっと興味深い。